台北で出会った「千の層」の芸術
- 3月29日
- 読了時間: 2分

ずいぶん昔に訪れた台北の広東料理は、
どこか懐かしいクラシックな印象でした。
しかし今回の旅で出会ったのは、驚くほどモダンに、
そして研ぎ澄まされた広東料理の「今」。
特に私の心を掴んで離さなかったのが、点心の定番、
大根パイ――中国語で「蘿蔔絲酥餅(ルオボースーピー)」です。
【二つの生地が織りなす「線の層」】
この一皿の素晴らしさを語るには、まずその「生地」の話を避けては通れません。
中華のパイ生地は、洋食のそれとは全く異なるロジックで作られています。
核となるのは、2種類の生地の重なりです。
油酥(ユースー): 小麦粉と油だけで練った生地
水油皮(シュイヨウピー): 小麦粉、水、油を合わせた生地
なぜわざわざ分けるのか。
そこには、揚げ上がりの「軽さ」を追求した先人の知恵があります。
この2つを幾重にも重ねることで、油の使用量を絶妙に抑えつつ、
揚げた瞬間に生地の間の油が溶け出し、
繊細な「小麦の層」だけが残る。これが、あのハラハラと解けるような「千の層」の正体です。
【古典を越える、大根との一体感】
包み方の工程は途中から洋食のパイに似た部分もありますが、今回私が感動したのは、
その中身(あん)との調和でした。
古典的な手法では金華ハムなどで旨味を足すのが一般的ですが、
今回のパイは、まさに「大根そのもの」が主役。
大根の水分と甘みが、極薄のパイ層とこれ以上ないほどの一体感を成していました。
この技術をさらに掘り下げ、
納得のいく形が見えてきたときには、
皆さまにお知らせできるかもしれません。
そんなことを改めて実感した、台北の夜でした。



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